「そうやってからかって…!」

「国語の先生なのに漢字間違いって、変な話ですよね。しかもこんな簡単な漢字」


私を試すように話す智也。


「どうしてでしょうね?」
「知らないわよ!」


いい加減にして。
そい言う前に、ガタンと椅子の音が鳴ったかと思うと───


机越しにいる私の唇を、智也が塞いできた。


「……っ、あんた何して」

「ここ、誰も来ませんよ。
それに呼び出しなら放送でしょう?

余計ドキドキしません?
バレるかもしれないという状況でこういうことするの」


余裕ありげなその笑み。
智也はゆっくりと私から離れた。



「……っ!」

ダメな、意識するな。
そう思っていても、ぶわっと顔が熱くなるのがわかる。


「ふっ、先生顔真っ赤」
「だ、誰のせいだと思ってんの!この変態キス魔!」


こっちに戻って来てからすでに何回もキスをされてる私。
性悪のキス魔かっての。


「キス魔?やだな、言い方が。
ただ黒崎先生を見てるとたまらなく愛おしくて、キスしたくなる」


何ストレートに言ってやがるんだ。
智也に調子を狂わされる。