それからも、色々な観光スポットやお店などをまわっていると、誰かが智也の名前を呼んだ。
「あれっ、もしかして智也くん!?」
「あっ本当だ!
智也、前よりさらにイケメンになってる!」
私の知らない女子たちだったから、少し嫌な予感がした。
もしかしたら智也と遊んでいたかもしれない人かもしれないと。
やけに親しそうに話しかけていたから、私はモヤモヤした気持ちのまま、智也の手を離してその場から去る。
「今日はどうしたの?」
「ね、今度元五組で遊びに行こってなってるんだけど来るよね!」
元、五組。
その言葉が耳の届き、安心する自分がいた。
良かった……つまり、智也と遊んでいた相手ではない。
元同級生のようだ。
「元5組って懐かしいな。
あんま連絡とってねぇわ」
智也が懐かしそうに話しているのを見て、少しだけ嫌な感情が湧き出る。
私の知らない智也の話をしている気がして。
けれどダメだ。
こんな嫉妬深い嫌な女にはなりたくない。
その感情を頑張ってかき消そうとする。