「うわぁ、意外と人が多いね」


私たちが目的地に着いた頃には、多くの観光客で賑わっていた。

そこは温泉地で有名なところだ。


「人気の場所だからな」


そう言って智也は、自然と私の手を握り歩き出す。
それだけで心が温かくなる。


少し歩いていると、人気のある抹茶専門店を見つけて私はテンションが上がった。


「あ!ねぇねぇ智也、あそこ行こあの店!
この前テレビで紹介されてた店だよ!」


私が智也の手を引いて進んで行くと、突然智也が笑い出した。


「智也……?」
「ごめん、綾が幼く見えて可愛いなって」


それは褒めてるのか、けなしてるのかわからないけれど可愛いと言われ恥ずかしくなる。



「あ、大人しくなった」
「う、うるさい…!ほら行くよ」
「はいはい」


そう言いつつ、まだ智也は笑っている。

そんな意地悪な笑みですら、かっこよく見えるのが反則だ。


けれどその店に行きたい気持ちの方が強かったから、足早にその店へと急いだ。