ドンッ。


近くでぶつかる音が聞こえる。


どうやら、

うさぎが体当たりをして退けてくれたようだ。



「オオカミ、大丈夫?」



うさぎは俺の顔を覗き込む。


あぁ、凄い安心感だ。



「うさぎ、ありがとう。」



「…うん!」




ゴソッ。


飛んでいったあいつが戻ってきた。




「うさぎ、

俺はお前を諦めないからな。」



そう言うとあいつは茂みへ戻っていった。



俺は、

そいつのいなくなった茂みを見ながら思った。




あれはいつも俺が見ている風景だった。



あいつがうさぎを押し倒して、

うさぎはバタバタしている。



そうだ、

俺はいつもあれを見て、

うさぎのキモチが分からなくなっていた。



けど、うさぎは精一杯抵抗していたんだ。



ごめんうさぎ、

これからは迷うことなく助けるからな。