オオカミside
「うさぎ、今日こそ俺と付き合ってもらう。」
そう言うとこいつは俺に覆いかぶさってきた。
俺はそれを為す術なくくらう。
「うわっ、なんだよ!」
俺は驚いて声を出す。
だがこいつは、
そんなことも楽しんでいるかのように、
俺に顔を近づける。
俺は何とか脱出出来るように最善を尽くす。
まず手でこいつを退かす。
…ことは出来なかった。
俺の手は、
こいつの前足によって動けなくなっていた。
次は噛み付く。
…ことも出来なかった。
俺の口に届く範囲に何もなかった。
次だ!
今度は前足キック!
…も、こいつの体が覆いかぶさっていて、
十分に威力が発揮できない。
そう思っても結果、
バタバタしているだけだった。
だめだ、これでは相手の思うつぼだ。
自分の思い通りにならないことが、
こんなに怖いことなんて…。
うさぎ、助けて…。
俺は目をぎゅっと瞑った。