「俺たち付き合えない、かな?」



気がつけば、俺はそんな風に口走っていた。



「……?」



大桃は、きょとんとしている。
俺はすぐに後悔した。俺が大桃に好かれる訳がないもんな。


勝手にここまで来て、自分が傷ついた話をさせて、そんな奴を誰が好きになるんだよ、と俺は自分に言い聞かせた。



「ご、ごめん! 変なこと言って……」



俺は、可愛い大桃になんでもしてあげたいと思っていた。話したくないことも話してくれて、マカロンをくれて、色々と褒めてくれた。


けれど、彼女が好きになった男は、かなりの美形だったと思う。俺はどこもかっこよくない。



「わたしでいいの? 勉強のこととなると、いっつも植松くんに頼ってるのに……」



思ってもみないことを言われ、俺の心臓は跳ねた。



「交際相手がわたしで、本当にいいの?」



俺は息を吸ってから、



「誰が迷惑なんて言ったんだよ」



と言った。そうして、にっこりと笑ってみせた。