「最近どう?タケル」

「どうって…どうもしねぇーけど(笑)」

ふわっとタケルが笑った

よかった…なんにもしゃべれなかったらどうしようかとおもった

「美咲はどうなんだよ」

「へっ?」

「元気かなーっておもってさ」

「あぁ…うん…まぁ…元気」

「そうか」

よかったといわんばかりに微笑んだ

その姿のバックには夕焼け空がひろがっている

いつも以上にまぶしくみえた

「俺たちってさ高校入って喋らなくなったよな」

「あーたしかにね」

「だって…」

タケルが人気出ちゃっていつも周りには女子がいるし、私が喋りかける隙がないじゃんか…

って…いえるわけもない

「もう高校生だしね(笑)」

「そりゃそうか」



「昔はいつも一緒だったのにな」

「そうだよね」

登下校も一緒、放課後も一緒、休みの日もだいたいいつも一緒にいる

物心がついたときにはタケルはずっと一緒にいた

私の知能が賢くなっていくと共に

タケルに対する気持ちが恋心ということに気づいていった

そしてその恋心は叶わぬ物ということも自分の中でわかっていった

「最近さ俺悩んでることあるんだよ」

「えっ?なに?」

タケルは親友でもある

どんなことでも話し、話される

恋心とはまた別のものだ

タケルが悩んでいるのなら

私も一緒に悩もう

それがわたしたちなんだから

「なかなかさ好きな子が振り向いてくれないんだよ」

えっ…好きな人…?

「えー!タケルに振り向かない奴っているの?」

「いるんだなーそれが」

本当は聞きたくもない…好きな人の話なんて

「親友としてちゃんと聞いてあげる!」

そう、親友として今はちゃんときく

目に熱いものをかんじたけど

必死に正体をかくした

「いつも見てるんだけどさ気づいてくれないんだよ」

「へぇ…」

「目もそらすんだよ」

「えぇ…やばいねそれは」

もう聞きたくない

「ちょくちょくアピールしてるつもりなんだけどな」

「やるじゃん」

「そいつには特別に優しくしてるんだよ」

「……」

聞きたくない

「ほんとに好きなのに…気づいてくれないんだよ」

「好きなんだ」

「あぁ…ほんとに好きだよ俺は」

ポロッとわたしと目から自然と涙がでてしまった

「美咲?」

「ごめん!なんでもないからっ!」

「なんでもないってそんなことないだろ!」

「ほんとになんでもないんだって!」

とっさにわたしは顔を隠す

こんなに嫉妬まみれの顔をみてほしくない

タケルだけには…

「美咲」

「みないでっ!」

「………」