中は光が溢れていた。

広い部屋の奥には天井まで届く大きな窓があり、その近くに置かれたソファーにリラがひとりきりで横になっていた。

「リラ!」

思わず駆け出そうとした私の腰をレオンの腕が止める。

そうしている間に、部屋の中から男性ふたりが出て来た。

「陛下」

彼らはどうやらレオンの部下のようだ。

「姫と護衛の男は?」

「他の従者と共に隣室におります」

レオンの視線が部屋の端の扉に向かう。扉の前には騎士二人が見張りのように立っていた。

「レオン、リラを……」

私は我慢できずに話に入る。

するとレオンは頷き私の手を引いてリラの下に向かった。

「リラ!」

駆け寄って間近で見るとリラは眠っているようだった。

ほっぺたは薄桃色に色づいており、気持ち良さそうな顔をしている。

「良かった……どこも怪我してない。具合も良さそう」

ほっとして息を吐き、起こさないようにそっとリラを抱き上げた。

柔らかくて温かな身体。

ああ、無事に戻って来たのだと胸がいっぱいになる。

安心したせいか涙が零れた。

「大丈夫か?」

レオンが優しく肩を抱いてくれる。

「うん……良かったリラが無事で」

「ああ」

レオンも優しい顔でリラの髪を撫でる。

「レオン、帰りたい。リラをゆっくり寝かせてあげたいの」

「そうだな……だが」

レオンはちらりと隣室の扉に目を向けた。

恐らくあの先にオリーヴィア様がいらっしゃるのだろう。

レオンは姫をどうするつもりだろう。

この先のことが不安で仕方ない。そのとき腕の中のリラが身じろぎした。