「オリーヴィアが来たことも報告を受けた。何を話したのか聞かせてくれるか?」

私ははっとしてレオンを見た。

「なんで?……カイルには黙っていたのに」

「警護の者をつけてあると言っただろう? オリーヴィアが来て直ぐにカイルに報告が行った。公爵家の姫が相手だから強引に妨害する訳には行かなかったが、いざというときは踏み込めるよう待機していた」

「え……ではカイルは知っていたの?」

私にはそんな素振り見せなかったのに。むしろ何も知らないから探っているような様子を見せていたのに。

「ああ、話しの内容までは把握していないが。だからリラを保護したら話してくれ」

レオンに優しく言われ、私は目を伏せた。

オリーヴィア様の言ったことをそのまま話したらきっとレオンは激怒するだろう。

だけどそうしたことで、オリーヴィア様の父君の公爵と敵対することになってしまう。
彼の立場が危うくなるかもしれない。

迷っているとレオンの手が伸びて来て、私の手をそっと握った。

「何を言われたのか有る程度は予想している。それでイリスが迷っていることも。でも俺を信用して話して欲しい」

「レオン……」

「俺は四年前より強くなったよ。もうイリスを置いて行ったりしない。イリスとリラを必ず守る」

真摯な目を向けられると、もう我慢することなんて出来なかった。

私だって本当はリラとレオンと三人で一緒にいたい。

ふたりと離れたくなんてない。

「側にいて……」

震える声でそう言えば、レオンの胸に引き寄せられた。

強く抱きしめられ耳元で囁かれる。

「約束する。ずっと側に居て二度と離さない」

「……うん、私もリラも離さないで」

広い背中に手を回す。レオンの鼓動を感じ私の心は幸せに満たされた。

レオンが好き……本当の気持ちを口にしたら歯止めが利かなくなったように気持ちが溢れて行く。

もう二度と離れたくない。

この気持ちはきっとずっと変わらない。