寮として使われているマンションの一室には、当時男三人が寝起きしていた。

勤務地が変わるたびに人も入れ替わる。

俺は研修の最初の方からここに住み、ルームメイトは二回入れ替わった。

仕事から帰るといつも愚痴を言いながら酒を飲む男、プライベートは一切見せたくないと言う男、陽気で、昔からの友達のように俺に接する男、いつも猫背で、卑屈な笑みを浮かべる初老男性……その全てが既にいなくなり、今は俺一人がこのマンションを使用していた。

今一緒に同じ店で働く研修社員は実家が近いらしく、毎日車で通勤している。実家が隣の県であり、高速道路を使って一時間という俺は、寮に甘んじるしか無いのだ。


暗い部屋の電気をつけ、晩御飯を食べる気力も無く床に座り込む。空っぽの胃がぐうと鳴ったから、煙草に火を点けた。