「そういや香穂、最近離婚したんだって?」



スマホを片手に冷蔵庫の中を物色していた瞬ちゃんが、突然切り出した。



「最近っていうか、2年前だよ」



何も後ろめたいことは無いのに、ドキッとする。
この話題は人から聞かれるとなかなかうまく答えられない。



「十分最近じゃん。俺、香穂が結婚したことも知らなかった」

「ずっと会ってなかったもんね」



「別れてから」、そう言いかけてやめた。
別れるとき、私は瞬ちゃんに電話で告げて一方的に終わらせたのだ。

微妙な沈黙を先に破ったのは瞬ちゃんだった。



「今は?付き合ってる人いないの?」



缶ビールを持って、私の向かい側に座る。
飲むか聞かれたけど、首を振った。