「テレビつけてていいのに」



デニムからスウェットに着替えた瞬ちゃんが戻ってきた。
開けられたふすまから、瞬ちゃんの両親の遺影が見えた。



「あ、お線香あげていい?」

「どうぞ」



許可をもらって和室に入る。
ほとんど面識のなかった瞬ちゃんの両親は、今の私より少し歳上で、当たり前だけどそのまま時が止まっている。



「俺よりしっかりしてるね」



手を合わせて目を閉じていたら、後ろで瞬ちゃんが笑った。