瞬ちゃんの実家は私の実家の2軒隣にある。

瞬ちゃんのことを知ったのは、小学生になってからだけど、幼なじみのようでそうでもない。

最初は一緒の学区にいるただの「お兄さん」だった。

親しくなったのは20年前、瞬ちゃんの両親が事故で亡くなってからだ。
年の離れたお兄さん以外に頼れる大人がいなくて、葬儀の手伝いを私の母親や近所の人達で行なった。

両手を固く握って正座をしながら、怒ったような険しい顔つきで涙を流している瞬ちゃんを見て、なぜか怖くなったのを覚えている。



「着いた」

「あれ、今日はお兄さん達いないの?」



車2台分の駐車スペースに瞬ちゃんのセダンが停まる。



「兄さん達はカウントダウンライブに行ってる。
帰ってくるのは年明け2日だったかな」

「ふうん」



瞬ちゃんが後部座席からキャリーケースを取り出した。
他のダンボールはそのままにしておくらしい。

後ろにくっついて家の中に入る。