「……相変わらずガンガンに癒してくるぜ、鳴海さん」

「口調」

「ところで高屋、今日暇か?」

「なんで?」

「酒飲みたい」



膝丈のフレアスカートにブラウスという服装で本人もおっとりした外見からか、ふわふわした印象を持たれる相馬だけど、実際は口調が真逆だった。

小中高大と一貫してバスケットをしており、元々が体育会系だかららしい。
それがどうしてこの見た目になったかは香穂も知らない。知り合ったときからこうだったため、最初は戸惑った。



「今日か……」



家には瞬ちゃんがいる。特になんの約束もしていなかったけど、早く帰ろうと思っていた。



「無理ならいい。違う日にしよう」

「んー……ごめん、じゃあ来週の月曜日の夜」

「早いな。せめて金曜日にしてくれ。
今日のコンペの結果次第で酒のうまさが決まるからな。
飲んだ次の日どうなってもいいようにしたいんだ」

「あはは、わかった。コンペ頑張ってね」

「おう、今から詰めだ。高屋も仕事始め、頑張れよ」



相馬と手を振りあって別れる。

営業部に入ると、待ってましたとばかりに後輩の藤井くんに捕まった。