「あけましておめでとうございます」



企画担当の相馬 詩穂だった。

彼女もまた大学が一緒で、部署は違うけど会社では同期にあたる。



「相馬さん、あけましておめでとう」

「あけましておめでとう」

「今さっき、お二人の机の上に今度の試作品置いたので、よろしければ使ってください」



相馬は中高生から社会人向けの、カジュアル文房具のデザイナーをしている。



「あ、ありがとう。娘がねぇ先月いただいた試作の付箋、笑いながら使ってたよ」

「ほんとですか!嬉しいです。あれ、今日の社内コンペでゴリ押しするんですよ。通れば商品化するので、完成したら持っていきます」

「楽しみだなぁ、コンペ頑張ってね」



鳴海さんがニコニコしながら「またね」と先に営業部へ入っていった。