食べ終わると洗面所に行って洗顔、着替えるために寝室と、コーヒーを飲みながらテレビを観ている瞬ちゃんの周りを慌ただしく動く。

いつもはダイニングテーブルでしていた化粧を寝室でして、出勤準備が完了した。
リビングに行くと瞬ちゃんが肩を震わせて笑っている。



「香穂、いつもこんな感じなの?忙しいな」

「なんで笑うの。そんなに面白いかな」

「いや、ちょろちょろしてて可愛かった」

「!?」


ーー可愛いってなに!?なんでそういうこと、平気で言うの!?

そしてなんでいちいち喜んでるの、私は。



「瞬ちゃん、鍵、ここ置いとくから!」

「昨日買ったもの届くから、今日は外出る予定ないよ」

「……そうだった。じゃ、合鍵作るから持ってく」

「おー、ありがとう」



パタパタと玄関まで歩く後ろを瞬ちゃんがまたついて来た。



「じゃあ、何かあったら連絡してね。行ってきます」

「うん、行ってらっしゃい、気をつけて」



誰かに見送られて家を出るのは、久しぶりだった。