次の日、瞬ちゃんは本当に私の家に来た。
1つのキャリーケースと4箱のダンボールを車に乗せて。

マンションの1階にある駐車場に車を停めてもらって、一緒に荷物を運び出す。

寝具や家具は前回の引越しのときに知人にあげたらしい。私に会わなかったらしばらくはホテルで暮らす予定だったと瞬ちゃんが言った。

瞬ちゃんに貸した部屋は8帖の洋室で、結婚するときに揃えた白いカーテンしかついていない。



「ありがとう、香穂」

「でもお客様用の布団とか全然無くて、ごめん」

「それはいいよ。今から買いに行くから」



車の中の荷物を運び終えた瞬ちゃんが、車の鍵を鳴らしながら部屋を出ていく。



「香穂も暇なら一緒に行く?」

「……うん!」



誰かとこの家から出かけるのは久しぶりだった。