「そんな顔するなよ。帰りたくなくなるだろ」

そう言うなら帰らなきゃいいのに…

「…今度は、いつ?」

帰るとわかっていて引き止めようとしないのは、私達の関係が曖昧過ぎて、彼に、重いと思われたくないからだった。

「……近いうち」

頬にチュッとキスの温もりとリップ音を残し立ち上がった彼は、私の頭を撫でながら苦笑して「戸締りちゃんとしろよ」と言って出て行った。

彼は大人で責任ある仕事についていて、忙しくしているって事は理解しているつもりでいるのに、エッチして余韻もなくシャワーを浴びて帰ってく姿の彼を思い出すと、大きなため息が最近ルーティンのように出てしまう。

はぁー

なんだろう?
このずしっとするモヤモヤ感。

まるでお金のかからないセフレ、もしくは愛人のようだ。

デートがしたいわけじゃない(正直したいけど)

ただ、体を重ねた後は、余韻に浸り、もっといちゃつきたいと思うのはわがままなのだろうか?

私が彼女なら強く言える事も、曖昧な関係のせいで言えないから、こう、モヤモヤ感が溜まっていく。

なんでだろう?

最初は、なんだかんだと思いながらも幸せだなぁと思っていたのに、今は、この関係に不満でしかないのだ。