そして、無事通過した私達にI.D.代わりになるバンドが渡される。これさえあれば、ワールド内は、財布なしに楽しめると説明される。

そして、私達がワールド内に予約したホテルのロビーの足元から、数十メートル離れた地上がクリアに見え、まるで空中に浮かんでいるようだった。

そして、ホテルの部屋に入って声をかければ、自動で反応してくれる。

AIシステムが導入されているらしく、『電気を消して』といえば、消えるし、『テレビをつけて』といえばつく事に私は、楽しくて何度も繰り返し言っていた。

「今、話題の人工知能アプリの最先端が、ここに集結されてて、色々な事ができるぞ。浴室のお湯も出してくれるし、室内の温度管理もしてくれる」

「すごい!すごいね」

手を叩いて感動していた。

「まぁな」

「どうして、高橋さんが得意げなの?」

「俺の会社が開発したAIシステムだからな」

「えっ…高橋さんってプログラマー?」

「どうだっていいだろ…それより、そらを預けて遊びにいくぞ」

誤魔化された感じで背を押されて、そらくんをホテル内にあるペット用の託児所に預けた。ワールド内を楽しんだ私達は、ホテルに併設されたエレベーターのように上に上昇する観覧車のような箱の中にいる。