今の彼の言葉に、なんだかんだと理由をつけておさえつけていた私の気持ちを、一気に掻き立てていく。
私の心の内の葛藤なんて知りもしないからか、こうして勘違いさせるような甘い言葉が人の心かき乱し、弄んでいると気がついていないのだろうか?
罪作りな男だ…
妹扱いされ振り向いてもらえなかった時は、好きだという気持ちだけで、側にいれればいいと諦めていて、彼とこんなふうに出かける事なんて想像もしてなかった。
彼に思わせぶりな態度を取られる度に、自分の気持ちにストップをかけていた私はどこに行ってしまったのだろう?
今、ここにいる私は、彼の言葉に浮かれている女でしかない。
このデートは名ばかりのお出かけだと、心のどこかで思うようにしていたのに、今は思わせぶりな彼に…期待で胸が膨らむのを止められない。
告白する勇気もないくせに、彼からの確かな言葉を欲しがる私がいる。
思い切って自分から好きだと告白してしまえば、この曖昧な関係がはっきりするだろう。だが、美人でもなく、ごく平凡な自分に自信がないせいで、告白して今の関係が壊れる可能性を恐れる気持ちの方が勝っていて、こうして、曖昧なまま流されてしまえばいいと思ってしまう自分もいる。