重なり合う唇の上唇をチュッと吸われ、半開きの口から甘い吐息が漏れ、頬を撫でる手が、キスをしながら下唇をなぞるだけで、愛されているような錯覚に落ちていく。
お互いに甘い吐息を吐き、キスを繰り返し、次第に彼の手は艶めかしく背を撫でお尻をグッとわし掴み腰を擦り付けるまでたかぶってきたらしく、唇から首筋に降りた彼の唇が肌をなぞり、耳を軽く食んだ瞬間、身を甘く震わせて昨夜の余韻を思い出し、小さく吐息を吐いてしまう。
このまま…そう思った時、彼が痛そうに顔をしかめた。
はぁーと髪をかきあげ、足元にいるそらくんを苦々しく見た後、ぎゅっと私の腰を抱きしめてきた。
「あー、ヤバかった。デートに誘ったくせに危うく千花をこのまま抱くところだった」
チュッとこめかみ辺りにキスをした高橋さんは、私の顎を掴み、唇をジッと見つめたまま、掴んでいた人差し指で唇をなぞり苦笑した。
「綺麗に塗ってたのにな…見事に剥がれてる」
腰を抱く腕を解き、ぽんぽんと頭部を撫でた後、足元のそらくんを抱き上げた彼は、私に化粧直しの時間をくれた。
鏡に映る私は、キス一つで蕩けた表情をしているのに、彼の方は、憎たらしぐらい普段と変わらない様子でそらくんのお腹を撫でて一緒に遊んであげている。