このままもしかしてと、ドキドキしていた時にそらくんが現れてホッとした私は、そらくんを撫でる事で今の状況におちている事実から目を背けていたのだ。再び意識させられると、視線の先にある男らしい尖った喉仏と、上半身素肌の為に間近で見る骨太の鎖骨のライン、そして鍛えられている筋肉質な肩が気になり落ち着かなく視線が彷徨ってしまう。

そして、少し見上げれば彼の唇が目につき、あの唇にキスされたのかと思うと、心臓は忙しくドキドキと速く鳴りだし無意識に自分の唇を指でなぞっていた。

その手を優しく掴まれて唇から剥がされて、中指を彼の唇が軽く食んでいく光景を見せられた私は驚きで目を見開き、声も出せずにいる。

「真っ赤になってかわいい奴」

甘さを含んだ声と指先に感じる疼きに意識を持っていかれているうちに、私の髪を耳にかけた彼はちゅっと耳にキスをしていた。

「耳まで真っ赤」

私の顎に指をかけ顔を持ち上げて満足そうに笑ったのだ。

彼の思うままに反応している自分が悔しくて、精一杯の反撃のつもりで睨んでやるが効果がなく、彼の口元は意地悪く弧を描く。

次第にキスされた耳がジンジン疼きだし、指で触りその疼きを逃がしていたら、彼の手がその手を掴んで耳から引き離した瞬間、ふっと耳に息を吹きかけてきた。