「ただいま…そらくん遅くなってごめんね」

そらくんがいつものように玄関でお出迎え。

「にゃー」

「えっ…もしかして、おかえりって言ってくれたの?」

いつもなら、出迎えてくれた早々餌皿の前に行き、餌皿をカチャンと鳴らしてご飯の催促をされるのに、今日は首を傾げ可愛らしく座ったままこちらを見ているそらくんの姿に思わず感動した私は、飼い主バカを発揮して都合よく解釈し、ご機嫌でローヒールの靴を脱いでそらくんに声をかけながら上がって行く。

「今日はね、そらくんにおやつもあるんだよ。ご飯の後にあげるね」

その後を追ってついてくる姿に更にご機嫌になっていた私は、高橋さんの存在をすっかりと忘れていた。

そらくんにご飯をあげて食べている姿をしゃがんで見ていたら、勝手に入って来ていた高橋さんがソファに座りコンビニで買った品をテーブルの上で広げていた。

カサカサとする音が気になるそらくんは、ご飯を途中にしてソファに登ると、高橋さんの側に近寄り彼の手の動きを追いかけて首を伸ばしたり、戻したりと様子を伺っている。

そんなそらくんに、もう一つの袋の中を広げて見せ言い聞かせるように話しかけていた。

「いいか、いい子にしてたらこの猫缶とおやつを食べさせてやるからな」