「…千花の男は…そんな頻繁に求めるのか?」
「…何それ?」
高橋さんは、ブランデーをグイッと飲み干し、何故だか乱雑にグラスをカウンターテーブルの上に置いた。
忙しさが落ち着いたらしいコウ兄は目の前でクスクスと笑いを我慢している。
「コウ兄、この人何言ってるの?」
「クッ、クックックッ…そらくんとの夜のことを聞いているんだろうな!」
「な、なんだよ。疲れてるって言うし、寝不足だって言えば、男と住んでいてそれ以外何があるんだよ」
ムスッとした顔で、微かに頬を赤らめている高橋さんを可愛いと思うより先に、なんて事を想像するのだと呆れてしまう。
「サイテー!どうしたらそう言う発想になるのよ。あっ、それより、私帰らなくっちゃ」
そらくんがお腹を空かせて待っているんだと思い出し、慌てて立ち上がって支払いをして帰ろうとしたら、高橋さんが千花の分』と言ってコウ兄に支払ってしまう。
「いいの?…」
「千花の飲み代ぐらい大したことない。まぁ、変に勘ぐったお詫びだ」
「お詫びって…ただ、イメージと違って高橋さんがそんなこと言うなんて思わなかったから…高橋さんも普通の男なんだね」
「どんなイメージしてたのか知らないが、俺も普通の男だ。好きな女とのあれこれを想像する」