モヤモヤとしたまま週末を過ごした私だったが、月曜からの忙しい日常の中、高橋さんとの一件を考えないで済んでいた。だが、ふと時間が空くと思い出してしまい自己嫌悪に落ちて、そこから無理やり気持ちを浮上させる日を繰り返す毎日。そして、今日は帰宅してから、そらくんとの微妙な距離を保ちつつ、『明日の夜、どうしよう』とそらくんに相談している始末。

もちろん、そらくんから答えが返ってくるわけじゃないとわかっていても、言わずにはいられないほど、明日は平静を装って高橋さんと会う勇気がないのだ。

「どんな顔して合えばいいの?忘れたふりをして話しかける?それとも、早々に謝る?いや、それはなんとなく嫌だし、向こうから話しかけてくるまで話しかけないで待つ!私、どれだけ上から目線なの…これはないな。ねぇ、そらくんは、どれがいいと思う?」

ご飯を食べてお腹いっぱいになったそらくんは、いつものように猫足柄のクッションの上で丸まって大きな欠伸をしていた。

「ちょっとはみぃーとか鳴いて答えてよ」

そんなこと知るかとそらくんは、うるさいご主人を無視して起き上がり、体を伸ばすとソファから飛び降りて寝室に消えていった。

「冷たいな」