「一度会ったきりだし俺が教えれる事は、外見が黒髪ってぐらいで、千花を寝床を与えてくれる家主ぐらいにしか思ってないだろうなってぐらいは見当がつくけどな」
ガタンと椅子を倒す勢いで立ち、康太の首元を掴んだら、「まぁ落ち着け」と宥められた。康太は店内のお客に『すみません』と声をかけ俺に座るように促すので乱暴に椅子に座った。
「そんな奴と千花が一緒に暮らしてても心配にならないのか?お前の口ぶりだとろくな奴じゃないとわかっているのに、何もしないって言ってるようなものだ」
自分とは違い千花と血が繋がっている康太から出たセリフが他人事のようで腹立たしくなり、怒りをぶつけた。
「千花が幸せそうにしているんだから、いいんじゃないのか⁈」
呑気な康太に更に苛立つ俺。
「はぁっ?本気で言ってるのか!?あいつは今、、恋に酔ってるだけだ。そうだよ…目を覚まさせてやるべきだ」
「お前が口出す事じゃないだろう」
「じゃあ、どうしろって言うんだ?」
「とやかく言わない方がいい。だが、それ以上の気持ちがあるなら…」
「それ以上のってなんだよ?」
「自分で考えろよ」
わからない問いを放り投げられ、頭を悩ます日々が始まった。
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