あいつがお風呂に行っている隙に、千花ちゃんに擦り寄る。
「そらくん、斗真さんのこと嫌いなの?」
『嫌い?好きじゃないだけだ。たまに、おやつをこっそりくれたりするから、僕のお家にいることを許してやってるんだよ。僕は千花ちゃんさえいてくれたら、それでいいけど、あいつがいないと千花ちゃんは…お家に帰ってこなくなるから、必要な人間なんだ』
お風呂場から、あいつが出てきたらしく、僕は、あいつから距離をとってお気に入りの場所で寛ぐ。
しばらくすると、リビングでお酒を飲むあいつの横で千花ちゃんは、さっき俺に相談していたことをあいつに話していた。
なんだか、少し揉めてたようだけど、あいつが折れたらしく、千花ちゃんはご機嫌の様子だ。
よかった。
すると、そろそろ就寝するらしく、千花ちゃんを連れて2階に上がって行くので、僕もついて行く。
あいつが寝室のドアを閉める瞬間、僕を見て勝ち誇った顔で笑った。
まただ…締め出された。
寝室のドアの前で粘っていると、中から千花ちゃんの声が聞こえる。
泣いているような叫び声に、激しく軋む音。
あいつにまたいじめられているらしい。
くそっ、千花ちゃんをいじめるあいつは、嫌いだ。
いつか、絶対追い出してやる。