「……陸人?」

「……利奈に、傷ついてほしくない」



陸人の腕に力がこもる。



「お前が報われるんなら背中押してやりたいけど……お前が泣くとこ想像したら、やっぱ無理だ」



どこか懐かしい響きに聞こえた。

ずっと前の、小さい頃の記憶。


悪口を言われたり、転んだり、怒られたりして私が泣いていると、陸人はいつも優しい声で励ましてくれたんだ。




「……好きなんだよ」



心臓が小さく跳ねる。



「利奈が好きだ」


陸人は、ゆっくり繰り返した。