「連絡先の交換も終わったし、そろそろ解散するか」
「円くん、今度ウチに遊びに来なよ。 俺も写真の話 聞きたいし」
「おー、そのうちな。 じゃあ和真、またな」
「またね円くん。 あとでメールするよ」
「おう」
和真との挨拶が終わると、時雨くんは私に向き直った。
さっきまでは相当ヘコんでたみたいだけど……今はもう大丈夫そうだ。
ううん、もしかしたら大丈夫そうに見せてるだけ…かな……。
「美麗。 色々ごめんな」
「……え?」
「名字と名前のこと、酷い言い方しちゃっただろ? だからごめん」
「あ……ううん、もう気にしてないから大丈夫だよ。 えっと、私も…時雨くんの名前のこと……ごめんね」
時雨くんに「女の子みたいな名前」と言った時のことを思い出す。
あの時は売り言葉に買い言葉だったけど、でも言っちゃダメなこと…だったと思う。
私が「美麗」という似合わない名前を気にしてるように、きっと時雨くんも、「円(まどか)」という女の子っぽい名前を気にしてるから……。