「……時雨くん、黙っててごめんなさい……」

「あー……いや、お前は何も悪くないだろ。 唐草 美麗のことを女だって勘違いしてたのは俺だし、勝手に探そうとしたのも俺だし、無理矢理お前を呼び出したのも俺だし」

「でも……黙っててごめん……」


「いやいやいや、俺がお前だったら同じように黙ってるって。 うん、だから謝る必要はない。 謝らなくていいから慰めてくれ」



弱々しく言ったあと、時雨くんは私の肩に寄りかかってきた。

かなり…ヘコんでるみたい……。



「……ヤベェ、マジでショックだ。 あぁでも…男って言われて見りゃ、確かに男だなぁ……」

「円くん、連絡先の交換しよう。 そのうちご飯でも行こうよ」

「お前…俺のこの状態を見て よく普通に誘えるなぁ……。 まぁいいけど」


「あ、DMで送った方が早いかな? すぐ送るから待ってて」

「おー」



男子二人の会話を黙ったまま見つめる。

私に寄りかかったまま携帯を操作しているから、内容が丸見えだ。

でも、さすがにDMでのやり取りは見ちゃいけない。

そのページに切り替わる前に私は視線を外して正面を見た。