「時雨くんって、本当に撮るのが上手だね」

「いや、携帯のカメラが優秀なだけだよ」

「だけど、私が撮っても全然綺麗に写らないよ? ほら見て」



自分の携帯を取り出して操作していく。

画面に表示させたのは、今朝2年1組で撮った写真だ。



「時雨くんが撮った場所と同じ場所で撮ってみたけど、なんか違うでしょ?」

「あー、これオート撮影か。 俺、被写体ごとに微妙に設定変えて撮ってるから、違う風に見えるのかも」

「え、設定なんて出来たんだ……。 ていうか、設定を変えながら撮ってるってことは、やっぱり時雨くんの腕がいいってことじゃんっ」


「ん? あれ? そうなる…のか?」

「絶対そうだよっ」



普通の人なら、カメラを起動したあとに設定なんて変えない。

オートでそれなりに綺麗に撮影出来るんだから、変える必要すらないもんね。


でも、人を感動させる写真っていうのは……やっぱり色々な工夫が必要になってくるんだと思う。

時雨くんは それが出来る人なんだ。