「聞いてくれよ、ニセ美麗っ」

「……朝からうるさいんですけど」

「まだ誰も居ないんだからいいじゃんっ。 なぁ昨日また美麗とDMで話したんだけどさっ、美麗って実は別の高校に通ってるんだってさっ」


「……へぇー」

「身バレが怖いからってテキトーな学校を言ったらしいっ。 でも同じ市内っつーのは確定だしっ、もっと仲良くなれるように頑張るよっ」



……あなたは恋する乙女ですか、時雨くん。

まったくもう。

この人があんなに素敵な写真をアップしてるだなんて、信じられないよ……。



「……まぁ…程々に頑張ってね。 じゃあ私 自分の教室に行くから」

「ん? ちょい待ち、お前って何組だっけ?」

「5組だけど」


「え、5組? 昇降口に近い方の階段上ってすぐじゃん。 なんでわざわざ遠い方から来てんの? 1組側の階段って昇降口からクソ遠いのに」

「え? あぁそれは……」



さっきまで1組の教室に居たから。


……って言えないっ。

時雨くんの写真を模倣してたなんて 言えるわけがないっ。



「……いつもよりも早く到着して暇だったから、校内を徘徊してました」

「マジか。 お前、何気に怖いな」

「放っといてください……」