「い、伊勢谷くん……」
「おはよ。 早いね?」
「えっと、その……たまたま早く起きちゃって……」
素早く携帯をしまいながら、笑顔を取り繕う。
そんな私の隣に、伊勢谷くんが並んで立った。
「あぁそうだ、昨日のことマルに聞いたよ。 美麗さんは唐草 美麗じゃなかったけど、唐草 美麗のファンなんだってね」
「あー……うん、実はファンなんだ」
まぁ…大嘘だけどね。
「えっと…伊勢谷くんも、唐草 美麗のファン?」
「いや、俺はそういうの よくわからないんだ。 唐草 美麗の顔も知らないし」
「あー、伊勢谷くんがフォローしてるのは時雨くんだけだったもんね」
「うん、俺がSNSをやってるなんて一言も言ってないけど よく知ってるね?」
「……え? あっ……」
……私の馬鹿っ。
和真に うっかりには気をつけろって散々言ったくせに、なんで私が うっかり余計なことを言ってるのー……。