でも、さすがに彼をフォローするなんて出来ない。

時雨 円じゃなかったら迷わずフォローするけど、本人を知ってるとなると、やっぱりちょっと…ね……。


幸い、「マル」は鍵アカウントじゃないから自由に画像を見ることが出来る。

フォローはしないで、気が向いた時に こっそり眺めるようにしよう。

もしも「マル」が鍵アカウントになったら、その時はもう諦める。

それでいいか。



「あ。 新しい画像が上がってる」



1分前に投稿されたのは……放課後の教室の写真だ。


たくさん並んだ机とイス。

列が少しだけ曲がってるけど、それがまたいい味を出している。



「なんか…やっぱりいいなぁ……」



誰も居ない教室。

少しだけ曲がった列。

黒板に残るチョークの跡。


毎日通ってる学校の何気ない風景なのに、写真で見ると何故だか感動してしまう。

でもきっと、私が撮ってもこんな風に綺麗にはならない。

時雨くんが撮った写真だからこそ、感動してしまうんだ。



「……もう時雨くんと喋ることはないだろうけど、これから先も「マル」の写真は見よう」



そう胸に刻んだあと、私はまた投稿を遡って写真を見始めた。