こっちは写真のみを載せる趣味アカウントで、仲の良い伊勢谷くんだけがそれを知っている。
と考えれば納得だ。
「それにしても…時雨くんの写真は本当に凄いなぁ……」
また時雨くんのページに戻り、写真を眺める。
雨の降る街に映える、色とりどりの傘。
青い空と飛行機雲。
夕暮れの河川敷。
誰も居ない寂れた公園。
落ち葉の山。
うっすらと積もった雪に残された小さな子供の靴の跡。
……気づけば私は、かなり前の投稿にまで遡って写真を見ていた。
時雨くんの撮った写真に…心を奪われてしまったんだ。
和真が彼をフォローした気持ちがわかった。
彼の写真の中に知ってる景色が出てきて、嬉しくなって、ついDMを送ってしまった…という気持ちも、なんとなくだけど理解出来る。
……「マル」と喋ってみたい。
色々なことを話してみたい。
リアルの「マル」…時雨 円という人を知ってるのに、私はそんなことを考えていた。