その後。
自室に引っ込んだ私は、ベッドに横になりながら深いため息をついた。
手には携帯を持っている。
「ええっと……唐草 美麗は…っと……」
SNSのマイページを開き、フォローしてるアカウントを眺める。
私のアカウントは好きな芸能人を十数名フォローしてるだけで、フォロワーは皆無だ。
鍵アカウントだから…というのはもちろん、友人にもこのアカウントは教えていない。
毎日ひっそりと好きな芸能人の写真や呟きを眺めるだけ。
自分では特に何もアクションは起こさない。
これは、そういうアカウントだ。
……その中で、好きな芸能人以外で唯一フォローしてるアカウントがある。
それが「唐草 美麗」…うちの弟のアカウントだ。
和真に「姉ちゃんの名前を借りるから一応教えとく」と言われたから、ただなんとなくフォローした。
逆に私は「こっちのはフォローしなくていいからね」と言ったから、和真は私をフォローしていない。
相互フォローなんてしたら関係性を疑われるし、もしも姉だと知られたら とにかく面倒臭い。
だから私は、唐草 美麗のファンの一人。 と装ってフォローしてるだけだった。