あるとき、ミヒロのバトンリレーが悪くて、試験管がユウキの手から落ちそうになった。



すると偶然にも、二人ともが、反対の手をユウキの手のひらの上に重ね合わせることになった。



「おっとっと、すみません、あぶなかった」。



「あぶないとこだった、この試験管、弱いから落っことすとすぐ割れちゃうんだ、気をつけて」。



「すみませーん、気をつけます」。



それよりも、ユウキは、自分の手に触れたミヒロの手がとても冷たいことに驚いた。



「そう言えば、リカの手も、ものすごく冷たかったよなあ」。



ユウキは心の中でそうつぶやいたが、すぐに気持ちを切り換えて、作業を続けた。