その後、ミヒロとは全く接点のないまま、大学は夏休みに入り、環境調査実習の当日を迎えた。



ユウキも学生の頃は、この種の集中授業には参加したことがあったが、参加者である学生の側と主催者である教員の側とでは全く立場が逆である。



学生の頃には見えなかった教員サイドの苦労も身にしみてわかるようになってきた。



バスのチャーター、宿泊施設の確保、参加費の徴収および経理、3回の事前ガイダンス、ガイダンスの欠席者やキャンセルの学生への対応、装備品の準備、買出し、レクリエーションの準備など。



また、実習当日となると、食事やお風呂の時間の確認、貴重品の管理、教員のミーティング、病気や怪我の学生への対応、就寝時の見回りなど、さらに、大学に帰ってからも、装備品の片付けはもちろんのこと、調査データの処理や成績入力、会計報告などの仕事が待っている。



ただし、実習中は、実働部隊として、ショウとコウスケが、学生の誘導や身の回りの世話のほとんどをやってくれるので、ユウキとしては、少し息をつくことができる。