ショウもコウスケも、人間科学部の院生ではなく、ユウキの卒業した文学部の院生だ。



先輩のユウキを慕って、毎年、夏の環境調査実習のティーチング・アシスタントを引き受けてくれている。



二人とも、この実習は文学部の学生の頃も含めて3回目で、大体の要領を得てくれているから、ユウキが一々指示をしなくてもテキパキ仕事をこなしてくれる。



当選した学生が履修登録用紙の記入が終わり、ショウとコウスケが講義室を片付け始めた頃、先のガイダンスの時間に質問しそびれた学生が、ユウキの周りに一人また一人と近寄ってくる。



ユウキは彼らの質問に一つ一つ丁寧に答えた。



そして、最後の学生の質問に答え終わったそのとき、ユウキの後ろから「あのぉーーー」というちょっと小さくて高い声がした。