その後、ユウキは、いくつかの質問に答えたあと、最後に「もうほかに質問のある人はいませんか?」と講義室全体を見渡しながら言った。



そのとき、ユウキは最後列にいた例の女の子と少し目が合ったが、彼女のことをちゃんと見ることはしなかった。



いや、正直、見ることができなかった。



仕事中だし、心の準備もできていない。



ガイダンスの最後に、ユウキは、抽選用の箱を手に取り、希望者の一人一人に一枚ずつクジを引かせた。



毎年、この夏の環境調査実習は、人気科目で必ず抽選となる。



定員は40名で、今年の希望者は70名ほどだから、今回は30名が落選する。



ユウキは講義室の左側から抽選箱を持って回り、反対側からは、大学院生でティーチング・アシスタントの仲田翔(ショウ)が、もう一つの抽選箱を持って回った。