「昨夜は熱い夜を過ごせた?」
その夜、言われた通りにお米を炊いて、ハンバーグとサラダも作り、隣りの部屋に届けに行くと、玄関ドアを開けた高輪マネージャーから出てきた第一声。
え?
昨日は確かに冷房がないと寝苦しかったけど……
なんて暢気に思いながら、
「クーラー入れてたんで、涼しかったです」
と、答えると、
「全くつまらない惚け方だな」
という、棘のあるお言葉が……
「つまらないって何ですか……大体、惚けてもないんですけど」
「部屋に連れ込んでた彼氏と熱い夜は過ごせたかと聞いてるんだが」
「え?」
「昼前に家に用事があって戻ってきた際に、君の家から出て行く男性を見た」
「・・・・・・」
高輪マネージャーの言葉に思考が停止する。
一瞬だけ、止まった後に再び動き出す頭の中。
そうか。
隣りに住むということは、そういうことまで知られてしまうのか……