“好き”とか〝付き合って”とか、
そういう言葉はナシで身体から入ってしまったけど、
私と凌一は付き合うことになるんだろうな―…
凌一と抱き合いながら、そんな事を勝手に思っていた私。
だけど、それは本当に私の勝手な見解でしかなかった。
「藤子ちゃんってさ、彼氏いないの?」
事が終わって少しすると、そう訊ねて来た凌一。
その時はてっきり、そんな問いからの“付き合おうか”的な流れだとばかり思っていた。
「いないよ」
そんな流れを期待しながら、そう答えると、
「俺もいない。っていうか、彼女って存在が向かないんだよね」
へらっと笑いながら、そんな言葉を口にされてしまった。
しかも、その後、
「好きなコを一人に絞れないっていうか……その時その時にいいなって思ったコと一緒にいたいタイプなんだよね、俺」
と、
さらっと、そんな言葉を数分前に初めて抱き合った私に言ってくれたのだ。
は?
って、ぶっちゃけた話思った。
それを言うなら、部屋に上がりこむ前に……せめて、裸になる前に言ってよ、
と。