と思っていたら、
コツ。
直ぐに立ち止まると振り返り、こっちを見る。
も、もしかして今の私の心の中の言葉が聞こえた、とか?
そう思ってしまって背筋がピンと伸びてしまう。
「あんた、」
「は、はい」
「フロント勤務なんだからさ、一日前に見た相手の顔くらい覚えておかないと」
「そ……それは―…」
「ああいう夜の店でも働いてるなら尚更だな。〝お客様”相手の仕事っていう意識が足りないんじゃない?それともボケっと座って酒飲んで適当に相槌打って時給さえ貰えればいいって感覚?」
「う……」
「ま、俺は直ぐに判ったけど。塗り絵みたいな顔がまぁまぁ見れる顔になっていてもね」
「……(塗リ絵ッテ……)」
「じゃ、失礼」