「下心が全くないっていうのは嘘かな。今朝の瀬名さん、綺麗だから」
「っ」
「ほら、肌とか」
露出した鎖骨の辺りをツーッと高輪マネージャーの人差し指が這う。
何時もなら“セクハラです”くらい言ってやるのに、言葉が出てこない。
触れられた部分が熱い。
妙な感覚がジワリと広がる。
「一晩寝て、さっさと切って正解だったって吹っ切れたからじゃない?」
そう言って、高輪マネージャーは私の顔を覗き込む。
冗談でしょ……?
今朝の私が綺麗だなんて。
二日酔いだし、メイクもとんでもない事になっちゃって、こんなに動揺してるのに、綺麗だなんて冗談に決まってる。