昨夜の出来事……
凌一に話そうかなっていう思いも少し過ぎったけど、やっぱり言わないでおこうと思う。
少しは心配してくれるかもしれないけど、それは当たり前で、
“彼女”でもないのに、わざわざ知らせても仕様がないようが気がするから―…
上辺だけの心配なんて―…いらない。
「ねぇ、凌一……」
「んー?」
「凌一はさ、本当に好きな人いないの?」
「何~?急にだね」
「今、関係のある女の人の中でも特別な存在っていないの?っていうか、他の女なんて目に入らないくらい人を好きになったこと―…ないの?」
昨夜の出来事を話す代わりに、私の口から出てきたのは凌一へのそんな問い。
「え、何?本当にどうしたの?」
「いいから、ちょっと答えてみてよ……」
〝私のこと好き?”なんて下らない確認はしない。いきなりの問いかけに、凌一は不思議そうな顔をして私を見る。