「だって、昨日の電話だって間違いでかけちゃっただけだし―…」

「ああ~…さっき覚えが無いみたいな事、言ってたもんな」

「何か、逆に気にさせちゃってごめんね……」

「いや、別にいいんだけど、藤子から着信があるとか珍しかったからさ。しかも、あんな時間に」


ま、間違いならそれでいいんだけど、

と、テーブルに置いたグラスを手に取り、口をつけた凌一。

こんな関係だけの相手でも、一応、そんな風に気にかけてはくれるんだ……

ちょっと意外。

でも、

もし、私にちゃんと付き合っている彼氏が居て、あんな時間に着信を残したら、

起きていれば直ぐに電話を取ってくれて……

気付かなかったとしても、朝起きて着信履歴を見れば直ぐに架け直してくれるのかな。

あんな事があったって伝えれば、心配して駆けつけてくれるのかな……


〝ちゃんと付き合っている彼氏が居たら”


何だか、そんな事をぼんやりと考えてしまう。