玄関を開けると、
「悪いね、急に」
と、“悪い”なんて思っていなさそうな、ヘラっとした笑顔を見せる。
「今日―…仕事は……?」
「休みー」
「そっか―…」
「うん。ていうか、何か今日はマズかった?」
「え?」
「今日の藤子に俺、何だか歓迎されてない気がするからー」
「―…」
凌一の言葉に胸が妙な感覚に襲われる。
「別にそんなことは―…」
「そ?じゃあ、上がるよ」
私にそんな問いをかけながらも、何時ものように部屋に上がりこむ凌一。
そんな凌一の姿を見て、また妙な気分になる。
上手く言葉で表せないけど、放送を終えたテレビ画面に映る砂嵐が心の中にかかっている感じ……
それに何時もなら、
凌一が会いに来てくれると、口では言わないけど内心、嬉しいと思ってしまうのに、
どうしてだろう……
今日はそういう風に感じることが出来ない。