「ふぅ、仕方ないわね~アタシの神的なサックスで癒しをプレゼントしてあげようかしらねぇ」
「えっ……」
「あぁん、遠慮はしなくていいのヨ」
「……」
トトちゃんは趣味がサックスで、ここに来ると必ず音色を聞かされ、
正直、飽きた……
けれども、気持ち良さげにサックスを吹くトトちゃんを前にそんな事は言えないので、
耳を傾けるふりをして、バーカウンター下で密かに携帯を弄って某検索サイトのトップで本日のニュースを見ながら、トトちゃんが作ったカクテルに口をつける。
ホント、こんな感じなら家に帰ってさっさと寝ればいいのに、なぜか立ち寄ってしまう不思議-…
そんな感じで一時間程、この店で過ごした後にタクシーを拾い、
やっと我が家である、1DKのマンションに帰っていく。
仕事の疲れを癒されたか癒されてないのか、よくわからない状態で家に帰り着いた私が一番にすること。
それは、
「ただいま~」
ベッド脇のチェスト上の水槽に住む、この部屋のもう一人の住人、
ミドリ亀のロミ男(一世♂)への帰宅のご挨拶。