「げっ。また、着信履歴が非通知でうまってる……」


副業のお店が閉店し、更衣室で着替えをしていると聞こえてきたそんな声。

顔を上げて、声がした方向を見てみると、

私と同じ時期に入店した、雅ちゃんという女のコが、

携帯の画面を見ながら、不快感を前面に表した表情をしていた。


「どうしたの?」


ブラウスのボタンをとめながら、尋ねてみると、


「何だかね~…ここ最近、変なのに付きまとわれてて……」


と、雅ちゃん。


「変なの……??」

「うん。ちょっと前に非通知での無言電話がちょこちょこ架かってきてたのね。で、一昨日、非通知拒否にしたら、今度は、繋がらないのに非通知着信の嵐……」

「うわ~…それ、迷惑っていうか気持ちわるい話だね……」

「でしょ~?もう、番号変えようかな、とか思うんだけど……」


はァ~、と、雅ちゃんが深い溜め息をつく。