もう、
私はこのまま一人寂しく皺皺に年老いていくのかもしれない。
公営の単身用住宅に引きこもりの毎日で、話し相手といえば長年の付き合いになるペットの亀、ロミ男(二世)だけ。
彼は無口でシャイな男だから、私が一方的に話しかけるだけの毎日……
こんなことなら、約六十年前にプロポーズしてきた某大手会社会長(当時六十一歳)の求婚に応えていれば良かったなんて後悔してたりして。
そしたら、愛なんて欠片もなくても財力に満ちて、寂しさをお金で埋める生活が出来るかも―…
なーんて、
遠い先の未来のことを、ウィスキーの水割りを作りながら思う私もどうかと思うけど……
でも、そんな事を考えてしまうのは、今ついている客が“コイツ”ということが、
きっと、一番の原因だ。